[Vol.24]葉山芸術祭

[Vol.24]葉山芸術祭

葉山では、毎年4月下旬から5月中旬にかけて「葉山芸術祭」が開催されます。1993年に地元のアーティストたちによる「豊かな自然の中に人と芸術の息づくまちを」というメッセージと共にスタートし、今年で24回目を迎えました。開催期間中は、お店やギャラリー、自宅などが「オープンハウス」のスタイルで開放され、作品の展示やワークショップなどのイベントが開催されます。アートを通じて参加者同士が触れ合える人気のアートフェスティバルです。

● update 2016.7.8 ●
葉山芸術祭の特徴はなんといっても「オープンハウス」
気持ちのいい季節、葉山の町をのんびり巡ってみてはいかがでしょうか

「草舟 on Earth」で葉山の豊かな自然を感じる

まずは、葉山芸術祭の第1回目から参加をしている「草舟 on Earth」へ。
ものつくり作家の矢谷左知子さんは、秋谷で草とともに自然な生き方を実践されている方です。
今回、草染めのワークショップを開催されるというのでアトリエにお邪魔してきました。


ワークショップは、草染めに使用する草を採るところから始まります。早速、参加者のみなさんと出掛けたところ、隣接の土地の開発により偶然にも一本の桑の木が切り倒される現場に遭遇しました。本来であれば草染めなのですが、今回は切られる木を使ってみようということで、作業をしている方に声を掛けて、枝を数本分けていただくことになりました。

枝から葉と実を仕分けます 葉の部分を雨水で煮出す

枝から葉と実を仕分けます。葉の部分を雨水で煮出すと、あたりがやわらかい香りにつつまれました

完全菜食の草弁当

卵・乳製品・動物性のものは使用しない完全菜食の草弁当

桑の葉を煮出している間に、染めに使う手ぬぐいと靴下に絞り染めの要領で、輪ゴムで好みの模様を施します。
どのような模様にするかを想像しながら作業したので、仕上がりが楽しみです。


ここで一旦、矢谷さん特製のお弁当でお昼休憩です。
矢谷さんは逗子のシネマアミーゴでランチを担当していたこともありお料理も定評があります。ツユクサやスギナ、ミツバなど、庭の季節の野草がおかずになったおいしいお弁当を堪能したら、いよいよ染付作業です。
染物の発色を定着させるための媒染液に浸したら、桑の葉の煮汁に浸け込みます。その後絞ってから空気にさらし、再び桑の葉の煮汁に浸します。矢谷さんは環境に配慮し、安全な自然のものを媒染液に使用します。今回は、1日かけて染付の作業を繰り返しました。

媒染液に浸します

明るめの色にしたければ石灰媒染液、渋めの色にしたければ鉄媒染液に浸します。右下写真の左は鉄媒染液、右が石灰媒染液によるもの

草舟onEarth

草舟 on Earth

スポットで見る

神奈川県横須賀市秋谷5430
☎ 070-6462-5865
http://kusabune.blog.fc2.com/

矢谷さんは、草染めは草木の命を分けてもらうことだと仰ります。
この日は一日中アトリエで過ごさせていただき、草染めだけでなく、アトリエの庭に咲く美しい草花や草弁当などを通して、矢谷さんの世界観と葉山の豊かな自然を感じることができました。草を通した矢谷さんのものつくりやビジョンに共感する方に、ぜひ訪れてほしい場所です。

ぜひ訪れてほしい場所です

作家たちの作品が並ぶ一色海岸の「Pájaro」

続いては、帽子作家の黒田真琴さんのアトリエ兼ショップである「Pájaro」へ。
黒田さんのアトリエは、ご自身で作られる帽子の他に、ものつくり作家たちによる一点物の作品が並びます。
今回の葉山芸術祭の期間中、フラワーアーティストのみねあゆみさんによる、薬玉作りのワークショップが開催されるというので体験してきました。


薬玉(くすだま)は、運動会などでお馴染みですが、元々は5月5日の端午の節句の飾り物として、平安時代から作られてきたものだそうです。カビなどが生じやすいいまの季節、香りの良い薬物を包み、五行(木・火・土・金・水)を表す5色の糸や菖蒲やヨモギなどで飾りつけて邪気を払ったとされています。

薬玉作りのワークショップを体験してきました
清らかな香りが漂うこの薬玉

ハランの葉を割いてカゴ状に編んだものの中に、ローズゼラニウムやユーカリ、クスノキ、ヨモギなど香りのいい植物を入れます。
清らかな香りが漂うこの薬玉は、玄関やリビングなどに吊るしても良いそうです。


シンプルな造りですが、同じ素材と工程であってもそれぞれ個性がでてきます。お互いに見比べながら、「それどうやったの?」「私のこんなになっちゃった」と楽しくおしゃべりをしながら作っていきました。

お茶菓子をいただきながら作業を進めます

お茶菓子をいただきながら作業を進めます。カゴの持ち手の部分は三つ編み。男性の方は初めてだと仰りながら上手に編まれていました

風が通る気持ちのいい黒田さんのアトリエ

風が通る気持ちのいい黒田さんのアトリエで楽しい時間を過ごすことができました

手仕事による作品の世界に触れにぜひ訪れてみてください

ワークショップの帰り道、薬玉を手にして葉山の町を歩いていると、数名の方に「それはなぁに?」と声を掛けられました。どことなくユーモラスで温かみのある薬玉がみなさん気になったそうです。


黒田さんのアトリエには、遊び心のある味わい深い作品がたくさん並びます。手仕事による作品の世界に触れにぜひ訪れてみてください。

Pájaro

Pájaro

スポットで見る

神奈川県三浦郡葉山町一色1999-4 葉山一色郵便局3F-B
☎ 046-876-0209
http://makotokuroda.com https://www.facebook.com/Pajaropaharo/



葉山芸術祭は「オープンハウス」の他に、葉山芸術祭実行委員会の主催によるイベントもあり、大きな目玉となっています。
今年は、竹のアートプロジェクトである「竹あかりツアー」、音楽イベントの「あかりのイベント」、クラフト市と屋台村が人気の「青空アート市」が開催されました。

竹のアートプロジェクト「竹あかりツアー」

竹あかりとは、間伐材を使って光の空間を演出するアートインスタレーションで、いま全国的に広がってきています。
その中でも中心的な存在である熊本の「CHIKAKEN(ちかけん)」というグループが、指導をしにいらしてくださいました。


彼らが目指しているのは、祭りの演出にとどまるだけでなく、地域の人たちを巻き込んだ町づくりです。
竹あかりを作る工程から、地域の人たちを巻き込むことによって、地域のコミュニケーションを活性化させていきます。
平成28年熊本地震という大変な状況の中、葉山に来てくださったスタッフの前田さんにお話しを伺うと
「いまの熊本の状況をいろいろな人に伝えたい」と話をされた後に「みんなの笑顔に癒されながら一緒に作る竹あかりは楽しい」とも仰っていたのが印象的でした。

参加者の中には菅原恵利子さんも

参加者の中には、手ぬぐいアーティストの菅原恵利子さんもいらっしゃいました

今回使用する竹は、毎年海の家で葉山の竹を使い続けている「OASIS」と「BLUE MOON」のスタッフが伐採から展示までの制作サポートを行う他、多くの葉山の人たちが今回の「竹あかりツアー」に協力しました。

暗くなる前にキャンドルを点火

暗くなる前にキャンドルを点火し、装飾された竹の中にセットします

森山神社のアートインスタレーション

森山神社のアートインスタレーション。あかりのイベントを彩りました

また、竹あかりツアーの一貫として、葉山しおさい公園で2日間、装飾された竹あかりがデコレーションされました。夜間開放は、葉山しおさい公園として初の試みだそうです。

刻一刻と変化していく風景に心奪われます

刻一刻と変化していく風景に、心奪われます

庭園の池に映る灯りが幻想的

庭園の池に映る灯りが幻想的

菅原恵利子さんの作品はさすがの迫力

菅原恵利子さんの作品はさすがの迫力

竹あかりツアー

竹あかりツアー

・「竹あかり」の制作
2016年4月29日(金)~5月1日(日)
・フォーラム「竹の文化」
2016年5月1日(日)
・「竹あかり展」
2016年5月3日(火)~4日(水)

多くの人の協力によって運営された「竹あかりツアー」は、「人と人」「人とまち」「人と自然」を繋ぐものだという想いが伝わるプロジェクトでした。


chikaken

竹あかり総合演出。
池田親生(いけだちかお)さんと三城賢士(みしろけんし)さんによって設立された、竹あかりの制作・プロデュース集団。
「人と人」「人とまち」「人と自然」を繋ぐ「竹あかり」の演出・制作プロデュースをベースに環境循環活動を展開。
http://chikaken.com/



あかりのイベント

「葉山芸術祭」の見どころ
「あかりのイベント」

森山神社で開催される「あかりのイベント」に、今年は滞空時間とマレウレウが招待されステージに上がりました。
マレウレウが唄うアイヌの伝統歌「ウポポ」に滞空時間の川村亘平斎さんの影絵がステージを彩ります。

マレウレウ

マレウレウ

ガムランを演奏する滞空時間の川村亘平斎さん

ガムランを演奏する滞空時間の川村亘平斎さん

マレウレウのステージは、歌と手拍子というシンプルな構成ながらも聴いていて心地良く、3人で唄うアイヌ語の輪唱に会場が神秘的な雰囲気に包まれました。
また、滞空時間の川村さんによる、リズミカルでコミカルな影絵とガムランの演奏により、ステージが更に盛り上がりました。

森山神社の境内にたくさんの人が集い楽しいひと時を過ごしました
あかりのイベント

あかりのイベント

2016年4月30日(土)~5月1日(日)

星空の下、森山神社の境内にたくさんの人が集い、楽しいひと時を過ごしました。



青空アート市

クラフト市や屋台村で賑わう
「青空アート市」

葉山芸術祭の最後の週末は、手仕事によるクラフトやアート作品のブースが森山神社の参道と境内に並ぶ「青空アート市」が開催されます。広場には地元のフード店が屋台村となって参加する、葉山芸術祭でも人気のイベントです。


ものつくり作家たちの一点物の作品や、掘り出し物のアイテムなど1軒1軒見て回るだけでも楽しめます。広場の屋台村もフードやドリンクの種類が豊富なので、オープンハウスを見て回った後の休憩にもぴったりです。

参加者たちが作っていく葉山芸術祭
青空アート市

青空アート市

2016年4月30日(土)~5月1日(日)、
5月14日(土)~15日(日)

いかがだったでしょうか。
今年は84の団体が葉山芸術祭に参加し、作品の展示やワークショップが開催されました。参加者たちが作っていく葉山芸術祭、来年はどんな出会いがあるのか楽しみです。


第24回葉山芸術祭

第24回葉山芸術祭

http://www.hayama-artfes.org/

開催日時

2016年4月23日(土)~5月15日(日)



おすすめ関連記事

特集一覧
ページトップへ